研究概要 |
本年度は,ベクタ-pkk233ー2によってHーrabー2cDNAを大腸菌Kー12で発現させ,産生させたrabー2蛋白質をSDSーポリアクリルアミド電気泳動によって精製し,これを抗原としてウサギ抗血清を作製した.本抗rabー2血清を用いたウエスタンブロット法および免疫沈降法によって各種の培養動物の細胞中のrabー2蛋白質を検出し,以下のような結果が得られた. 1.Hーrabー2 cDNAを発現させた大腸菌およびCOSー1細胞では,rabー2蛋白質はcDNAの塩基配列から算出されたアミノ酸配列から推定された24kDaの単一のバンドとして検出された.また,Hーrabー2 cDNAを移入させていないマウス,ラット,サルおよびヒトの培養細胞でも24kDaのrabー2の蛋白質が検出された. 2.Hーrabー2 cDNAを発現させたCOSー1細胞では,24kDaのバンドに加えて,25kDaのよりfaintなバンドが検出され,一方,Hーrabー2 cDNAを移入させていないCOSー1細胞ではこのバンドは認められなかった.従って,25kDaのバンドは24kDaのものとは異なる修飾をもつrabー2蛋白質であると考えられた. 3.ラット褐色腫PC12細胞とヒト神経芽細胞腫NB3細胞では24および25kDaのrabー2蛋白質が検出され,ヒト腫瘍細胞であるHeLaおよびKOBK101では25kDaのrabー2蛋白質のみが検出され,25kDaのrabー2蛋白質の産生は細胞種によってなんらかの調節を受けているものと考えられた. 4.これらの細胞では,24および25kDaのrabー2蛋白質はともにリン酸化されていた. 5.蛍光抗体法によってrabー2蛋白質はこれらの細胞の細胞質に局在することが認められた.
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