近年、線維芽細胞を筋細胞に分化誘導する一連の遺伝子、MyoD・myogenin/Myf5のcDNAが相次いでクロ-ニングされた。これらの遺伝子産物は、互いにホモロジ-を有する核蛋白質で、筋芽細胞で特異的に発現される。我々は、筋分化におけるこれらの遺伝子の役割を探る目的でまずマウスのMyoDおよびmyogeninのcDNAを単離した。このうち、myogenin cDNAは224アミノ酸残基からなる蛋白質をコ-ドしており、それに対して既に報告されているマウスmyogenin cDNAから推定される蛋白質(246アミノ酸)はframe shiftにより155番目以下のアミノ酸が間違っていることがわかった。さらにこのことは遺伝子構造の解析からも確認された。訂正したmyogeninの構造は、mycーホモロジ-のある領域の他にC末にもMyoDやMyf5とホモロジ-のあるドメインを有することが見出された。 これらのcDNAをヒトβーアクチンのプロモ-タ-に連結した発現ベクタ-を作成し、マウス線維芽細胞(C3H10T1/2)に導入することにより、 (1)MyoDの方がより形態的に分化の進んだ筋管細胞を形成する筋芽細胞への分化誘導をもたらすこと。 (2)mygeninは倍地中の血清濃度の低下にともなって内在性MyoD、myogenin両遺伝子を活性化し、それに対しMyoDは非依存的にそれらを活性化すること。 を明らかにした。
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