(1)LPL*の合成・成熟・分泌過程:ヒト単球由来マクロファ-ジ(Mφ)を^<35>Sーメチオニンで蛋白ラベルレ、細胞内および分泌された標識LPLを抗ヒトLPL抗体で特異的に免疫沈降させ、SDSー電気永動で分析した。LPLは小胞体でまず55KDaの蛋白として合成されると同時にNーグリコシル化を受け、活性型の60kDaの蛋白になり、さらにゴルジ体でガラクト-スなどの糖付加を受け、分泌型の61KDa蛋白となり分泌されることが判明した。また分泌されたLPLは血管内皮細胞表面に生理的に活性型として結合できることが免疫組織化学的およびLPLの活性測定により明らかになった。LPL蛋白の合成調節機構を解明するー手段として、LPL欠損患者よりMφを調整し、その病因解明を検討した結果、本症例はLPL蛋白合成能欠損であることが判明した(脂質生化学研究、1989年:J.clinical Invest.1990年、投稿中)。この病因が、LPL遺伝子の発現調節領域の欠損に由来するか否かを現在検討中である。さらに、LPL異常に由来する高脂血症者(I、IV、V型)を対象にLPL蛋白合成能異常があるか否かをスクリ-ニングする方法を開発した(脂質生化学研究、1989年)。本方法により、LPL遺伝子発現の調節因子を研究するのに適切な検体が見い出されることが期待される。 (2)LPLcDNAのクロ-ニング:ヒトMφ由来THPーI細胞によりLPLcDNAをクロ-ニングし、全塩基配列を決定した。得られたLPLcDNAをプロ-ブとし、ヒトLPL遺伝子をクロ-ニングすることに成功した。現在LPL遺伝子の5'上流域のLPLmRNA転写調節領域の検討を行っている。 *LPL…リポ蛋白リパ-ゼ(lipoprotein lipase)
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