研究概要 |
本研究の目的は(1)被爆試料を収集し,(2) ^<152>Euを測定し,(3)その結果を使い測定デ-タとDS86に基づく計算結果との矛盾を考察することにあった.(1)の被爆試料の収集は予想以上に順調で,広島の試料が14点,長崎の試料が1点収集できた.それらは花崗岩や,コンクリ-ト,タイルなどで,収集場所は,(1)元安橋,(2)原爆ド-ム,(3)逓信病院,(4)貯金局,(5)白神社,(6)超覚寺,(7)旧広島銀行本店,(8)広島銀行銀山町支店,(9)段原の高田氏宅,(10)広島信用金庫横川支店,(11)日赤病院,(12)観音橋親柱,(13)旧県庁,(14)報専坊,(15)長崎市坂本町の県有基地である.試料の測定は近距離(1000m以内)のものは粉砕しそのままGe検出器で ^<152>Euの122keVまたは344keVのガンマ線を測定した.遠距離のものについては広島大学工学部にてEuの濃縮作業の後同じ放射線を測定した. デ-タの解析の方法は(1)使用したコンピュ-タ-コ-ドのチェックのためのベンチマ-クテストをまず行った.これには広島大学原医研の ^<252>Cf核分裂中性子発生装置の中性子を使い,熱または熱外中性子や,速中性子を測定した.また中性子の減衰材として,花崗岩,ボロンの入ったポリエチレン,水,塩化アンモニウムを使った.その結果はMCNPコ-ドによる計算と比較した.実験結果と計算結果は,15%以内の精度で1/1000以上の減衰の状態を再現できた.この事によりこのMCNPコ-ドは十分精度が良く,広島原爆でいうと爆心から1500m位までの計算が可能である事を示した.つぎにこのMCNPを使って問題の広島原爆の中性子の系統的ずれを検討した.この問題についてはほぼ原因を突き止めている,しかし,まだ日米のグル-プが存在しているので,その内容についてはそこで提案し討論する考えである.論文としての投稿も考えていて現在準備中である.
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