研究概要 |
本研究は共存対流時の原子炉炉心内の流れを実験的に調べることを目的として計画された。本年度は温度と流速を同時測定するための測定系の確立を目指して行われた。速度と温度をレ-ザを用いて測定するための光ファイバレ-ザ流速計が開発された。この流速計は従来の市販の流速計よりもSN比が1桁よく、またその大きさも、直径6mmと世界最小である。また、温度はこのアルゴンレ-ザ流速計を用いてロ-ダミンBを含む水溶液の蛍光強度を測定することによりなされた。まず温度(T)と蛍光強度I(T)の関係を示す較正曲線について検討した結果、ある基準温度Toにおける蛍光強度をI(To)として、I(T)/I(To)と(TーTo)/Toの関係を示す曲線は、蛍光の飽和が起らない状態では、溶液の濃度、励起光強度、励起光波長(488nm,514.5nm)によらず一定であることが判明した。したがって、この予備実験で得られた較正曲線は、本実験において基準温度Toにおける蛍光強度I(To)さえ測定しておけば使用できることになる。また、2つの波長の光を用いれば、温度と2次元の速度の同時測定が可能なことも判明した。つぎに温度と速度の同時測定が可能であることを実証するために、水槽の中に加熱器と冷却器を設け、自然対流を発生させて、温度と速度の同時測定を行った。温度はロ-ダミンB水溶液の蛍光(橙色)、速度は水の中に混入したシリコンカ-バイト粒子(直径1um程度)からのミ-散乱光(緑色)から求めた。実験結果はサ-マルプル-ムのようすをよく表しており、高温の流体塊では浮力により流速が速く、低温では遅い。その変動波形は熱電対による測定結果とよく一致しており、レ-ザ励起蛍光法による温度、レ-ザドップラ流速計による速度の同時測定が可能であることを実証することができた。
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