研究課題/領域番号 |
01580235
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研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
白井 義彦 兵庫教育大学, 学校教育学部, 教授 (80003755)
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研究分担者 |
吉本 剛典 兵庫教育大学, 学校教育学部, 助手 (30167019)
新見 治 香川大学, 教育学部, 助教授 (80136283)
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キーワード | 地下水涵養機能 / 中間貯留機能 / 地下水の塩水化 / 溜池水利システム / 溜池の水文学的特性 / 洪水調節機能 / 地域住民の溜池観 / 環境変化 |
研究概要 |
溜池がもつ環境保全機能のうち、地下水涵養(水質保全)機能の側面について兵庫県印南野台地を対象地域として調査を実施した。その結果、農業用さく泉による地下水利用は、台地全域に分布する72の水利組合中47(65.3%)にもおよび、さく泉で揚水した地下水を中間貯留機能をもった溜池にストックし、循環利用をしていることが明らかとなった。 ところが、この台地では、播磨臨海工業地域の発展と阪神都市圏の拡大による都市用水の需要が増大し過度の地下水の揚水が行われたために、広範な井戸枯れ現象が発生しており、水位低下による地下水の塩水化が認められ、溜池水利システムの限界性をも指摘することができた。 そこで、溜池が本来的にもつ中間貯留機能と地下水涵養(水質保全)機能とを調和的に地域環境保全に資するためには、新規の水源開発による補水(東播用水)が必要であることを示唆した。 また、讃岐平野の東部に位置する香川県大川郡大内町でも、溜池とその環境保全機能の調査を実施した。まず、大内町において、溜池の水文学的特性を把握する事例的な調査を行った。溜池調査表を資料として、溜池の流域。・溜池・受益地の規模などに見られる特徴を把握し、溜池の相当雨量(貯水量/流域面積)は平均100mmであり、これが溜池の貯水機能であり、洪水調節機能であるという知見をえた。 次に大川町域の大内ダム建設と地域外からの香川用水の導水後における溜池の景観や機能変化についても調査をした。その結果、可成りの溜池で水色が変化しているが、その原因については、水草の繁茂・水質汚濁・採土の流出によるものがあげられた。この大内町での溜池とめぐる環境変化に関する知見を参考にしながら、地域住民の溜池観を把握するために、香川県下の自動・生徒を対象に質問紙法による調査(学校14校・回答者約1,500名)した、。この分析結果を踏まえて今後の調査を計画したい。
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