中国山地にはガラス質火山灰、軽石質火山灰の存在が知られ、これらは火山灰固有の火山ガラスの特性で区別できる。この目的で火山ガラスの特性を屈折率で把握するため、高精度の屈折率の測定が必要である。このため、浸液の温度を熱電対で直接測定する、温度変化の可能なステ-ジを作成した。これを循環式恒温槽D8ーLと結び、位相差偏光顕微鏡に載せ、屈折率の測定を行なった。また、屈折率の測定時に、顕微鏡光源の波長を金属干渉フィルタ-を用い、D線、C線、F線の波長にすばやく変更可能なものとし、異なった光源で屈折率の測定を可能にした。熱電対で得られた信号はデジタルマルチ温度計TR2114からアナログ出力し、その信号をAD変換によってデジタル信号化し、PC9800によってデ-タ収集し、火山ガラス各粒子毎の屈折率の測定を可能にした。その結果を統計的に処理し、各火山灰に含まれる火山ガラスの屈折率特性を把握できるようにした。今後の装置上の課題として、温度変化装置の低温度領域での測定能力の向上が必要である。 上記の装置の利用によって、中国山地中部に位置する道後山周辺の斜面堆積物にはさまれた火山灰の屈折率の測定を行なった。火山灰はいくつかの種類が存在しているが、それらの火山ガラスの屈折率はn=1.495、1.499、1.504、1.510、1.522付近に中央値をもつ火山灰からなることが確認されつつある。それらは鉱物組成上も異なっていることから、火山灰固有の性質であると判断される。それらの火山灰の降下年代についての14C年代を含めた編年の作業が今後の課題となる。
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