研究概要 |
RFHR電気泳動法によって発見された5種のリボソ-ム蛋白質(A,B,C,DおよびE)の中、D蛋白質の遺伝子解析を行い、ORFとその周辺の塩基配列を決定した。その結果D蛋白質は45個のアミノ酸からなる分子量5096の30Sサブユニット中最小の塩基性蛋白質であることがわかった。その遺伝子は33分に位置する。このDの解析を了えて、新しく発見されたリボソ-ム蛋白質の遺伝子位置は全て決定されたことになる。我々はこのD蛋白質を大腸菌リボソ-ム蛋白質の統一命名法に従ってS22と名付けた。本研究によって大腸菌リボソ-ム蛋白質の種類は、50Sサブユニットに36種(中、翻訳後修飾による2種を含む)、30Sサブユニットに22種存在することが確定した。一方E蛋白質は精製時、高塩濃度処理によってリボソ-ム顆粒から脱離するためリボソ-ムファクタ-として分類することにし,“ribosome modulation factor"と名付けられた。Eの発現は細胞の増殖期に対してつよい依存性をもっており、定常期にのみ出現するが同時に100S(70Sリボソ-ムのダイマ-)の出現と厳密に並行している。これに加えて、Eが100Sに局在し、かつEと100Sのモル比が1対1になることはEが70S2分子を結合させ100Sを形成するKey proteinである可能性をつよく示唆している。今年度、国立遺伝研の石浜研究室との間で進められた共同研究で、EのmRNA量の細胞増殖time courseを測定した結果、log phaseからstationary phaseへの移行に伴ってmRNA量の飛躍的な増加が観察され、Eの発現調節が転写レベルで行われることが明らかにされた。今後更に、外的環境の変化からE発現までの情報伝達を分子レベルで解明することが、重要かつ興味有る課題となっている。本補助金で購入した高圧減菌器は上記大腸菌培養に,又定電圧定電流電源と振とう機は電気気泳動操作に、そして微量高速冷却遠心機はリボソ-ム調製に夫々必須の装置である。
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