1.複合時間軸分光装置の完成 (1)ナノ秒のパルス光で光反応を駆動し、マイクロ秒からミリ秒の時間領域で、かつ現れ、かつ消える中間体の蛍光寿命をピコ秒の時間分解能で測定することのできる装置を完成した。 (2)従来のフラッシュホトリシス法では中間体の吸収あるいは発行スペクトルをとらえるにとどまっていたが、本装置の完成により中間体の蛍光寿命をとらえられるようになった。これは中間体の同定にとどまらず、そのおかれている環境(あるいはその経時変化)を蛍光寿命(あるいはその経時変化)によって知ることができるために生理反応の解明において極めて有効である。 (3)視物質ロドプシンのモデルとして、色素を内在する蛋白バクテリオロドプシンの光化学サイクルを本装置を用いて詳しく調べた。この結果、従来知られていなかった反応中間体の挙動が明らかになった。 2.高感度蛍光法による反応解析 本研究の対象となった。色素蛋白パクテリオロドプシンならびにその光化学反応中間体の蛍光は極めて弱く(蛍光量子収率は10^<-3>以下)、これは市販の高級蛍光光度系でも定量的な測定が困難である。そのため、上記の装置を使用する前に、どのような測定条件を選ぶべきかについて効率良く調べる装置も合わせて開発した。この装置は、極微弱蛍光しか発しない中間体のマイクロ秒からミリ秒の挙動を、時間分解能が50nsで追跡することができる。
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