研究課題/領域番号 |
01580265
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研究機関 | 姫路工業大学 |
研究代表者 |
吉川 信也 姫路工業大学, 工学基礎研究所, 教授 (40068119)
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研究分担者 |
月原 富武 鳥取大学, 工学部工業化学科, 助教授 (00032277)
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キーワード | チトクロム酸化酵素 / 膜タンパク質 / 結晶化 / ミトコンドリア / エネルギ-変換 / 酸素の還元 / X線解析 |
研究概要 |
1.結晶化条件の検討:固形のBrij-35を小量づつ加えて結晶化に最小限必要な界面活性剤濃度を正確に決定し、その濃度を中心として、わずかに異る種々の濃度の溶液を作り、4℃で静置し結晶化した。現在のところ、この方法が最適で、一辺が0.6mm以上の六方晶系の結晶を再現性よく析出させることに成功した。この結晶を用いて、放射光実験施設でX線回折実験を行い、7Å分解能の回折強度デ-タの収集を完了した。パタ-ソン関数は(U、V、O)面に非常に鮮明なピ-クが認められ、結晶中の酵素分子は対象的な二量体であることを示している。 2.重原子誘導体の作成:重原子誘導体を作るための化合物を検討した。WやMoを含む、分子量2000〜3000程度の巨大な化合物をいくつか試して、2〜3種の化合物はほぼ化学量論的に結合することが認められた。しかし、結合すると親水性が増大するためか、結晶化できなかった。 3.高塩濃度下での結晶化法の開発:多分数の界面活性剤であるBrij-35を種々の単分散の界面活性剤に置きかえて、高塩濃度で結晶化を試みた。アルキルオキエチレンのB0-7SY、BD-8syやアルキル酸糖体のDodecyl melto sideではBrij35と同程度の分解能ではあるが、X線回折像が得られた。現在さらに分解能を高めるための検討と、重原子誘導体結晶を作ることを試みている。 4.還元型とCO化型の結晶:活性中心金属の酸化状態や配位子結合状態を変えて、結晶化条件が有利になることを期待して、還元型とCO化型の結晶化を試みた。その結果、分解能は大差ないが、より安定な結晶が得られた。CO化型も還元型も、空間群、格子定数ともに、酸化型に等しかった。このことはO_2結合や電子伝達反応に伴う立体構造変化はそれほど大きくはないことを示している。この結果は、これらの構造解析の第一歩として非常に重要である。
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