昨年度この課題での科学研究補助金により音声発声時の呼気流情報を解析する装置を製作した。そしてこれを用いて健聴者1名、また聴覚障害者で今だ発音が完全でない被験者(有意味音声の認識はほぼ支障が無い)の破裂及び摩擦子音を含む音節音声発声時の呼気流を解析検討した。 今年度は前年度の被験者より発音学習度がより低い聴覚障害者の協力により破裂子音および摩擦子音を含む〔子音+母音〕また〔母音+子音+母音〕の計360種類の音節音声発声時の呼気流情報の計測、記録、並びに解析を行った。この時点でそれまでの実験より気流情報は発音の仕方や発音時の環境また発声者の違いによりバラツキがかなり大きいことがわかった。それでこれまでの被験者による同一音節音声の発声回数をより増し、また健聴者は発声者の人数を増やして実験を行った。それから聴覚障害を持つ被験者2名について音節明瞭度試験を行い、全ての音節について正聴の度合を、また異聴されたときはどの様に異聴されるかを調べた。これらの資料を基に、そしてこれらの被験者を実際に発音指導をしてこられた発音訓練の専門家の援助を得て発音の仕方の誤り方を検討した。 この結果呼気流の放出方向及びその強さ、そしてそれらの時間の経過に伴う変化の仕方は音声の音韻性、すなわち発音の仕方をよく特徴付けていることが解った。がしかし未だ音声発声時の呼気流情報の分析検討はまだ十分でなく、それで今も行っている。これを踏まえて発音学習に呼気流情報をどの様に利用するのがよいかを明らかにするつもりである。
|