研究概要 |
本年度は、英国のC.Gattegnoが提唱し、世界的に注目されている“situationの数学教育"の具体的な展開として本研究を位置づけることからスタ-トした。Gattegnoは、結局、“situationとは何か"、正面切って何も語らなかったので、我々は、数学的命題Pを生み出す思考を支える4つの活動を明かにし、その4つの活動が保証される場を“命題Pのsituation"と定義した。更に、Pのsituationをつくり出すことを(平林一栄元広大教授の提唱した)“命題Pのsituation化"と定義した。 本年度得られた最大の成果は、次の(1)〜(4)の実践を通して、算数・数学教材のsituation化をベ-スにした学習指導法が普段の授業に探り入れることのできる見通しが得られたことである。 (1)(4月)小4の平行四辺形,小6の体積に関するsitudtion化された授業を、それぞれ、小3,小5で実施。しかし、学年を下げたことによる子ども達の抵抗感は殆んど感じられなかった。 ※その最大の理由は、子ども達の対話の対象となる図形を単純な操作活動の中で自然につくられるようにしたためである。この授業の特長は「クラスの誰もができることをしながら、クラスの誰も知らないことをいつの間にか見い出してしまっているところにあった。 (2)(6月)平林氏や県内の教師らと、上記のタイプの実験授業(中2の図形)と研究会を開いた。 ※8月には、これらの研究成果の一部を世界数学者会議で発表。 (3)(9〜10月)県内の中学校で、単純な操作活動からスタ-トとする実験授業をを実施した。(大阪教育大の教官らも参観) (4)(11月)附属中学で(3)の成果を踏まえた公開研究授業を行い、県内の教師や指導主事らと、上記の学習指導法の実用化に向けての突っ込んだ話し合いを行った。
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