研究課題/領域番号 |
01580279
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
恩藤 知典 神戸大学, 教育学部, 教授 (40033568)
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研究分担者 |
野上 智行 神戸大学, 教育学部, 助教授 (80127688)
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キーワード | 直覚的認識 / ナイ-ブ理論 / Naive Theory / 問題設定場面 / 水蒸気 / 電気回路 / 選択的認識 / Alternative |
研究概要 |
(研究の視点と方法)本研究は、「児童・生徒、あるいは大学生は現代自然科学の概念とは必ずしも一致しない、独自のナイ-ブ理論(Naive Theory)を持つ」「問題設定場面が異なると、同一事象に対しても反応の形式が選択的になる」という仮説のもとに、学習者の直覚的な認識について調査した。児童の直覚的な認識の特徴を明らかにする為には、同一事象に対する大学生や高校生・中学生の直覚的な認識と比較することが必要であると判断し、小学生・中学生・高校生・大学生までを調査範囲とした。本年度は最終年度として、選択された事例の中から、水蒸気に関する調査と電気回路に関する調査、および流体中の物体に加わる力に関する認識について調査を行い、その結果の一部を日本理科教育学会で発表するとともに、結果を報告書にまとめた。 (結果)水蒸気に関する認識は、その熱源がガスの燃焼による場合、電流の発熱による場合、フラスコのような実験的な加熱の場合によって異なった特徴を持つことが見いだされ、人は問題設定場面によって選択的な認識を示すことが結論された。電気回路の認識には学習者の電流に関する固有のナイ-ブ理論の存在が確認された。また、それは授業によってかなり改善されたが、時間の経過によって再び学習前の状態に帰る可能性が高いことが見いだされた。直覚的な認識を前提として授業構成の可能性を検討するため小学校「人体」の授業を試みた。 (今後の課題)流体中の物体の浮遊に関する調査もすすめたが、調査方法において、また、得られた事例の解釈において改善すべき問題が生じた。これについては更に調査を進め、できるだけ近い将来に適切な学会の研究紀要に報告する。今後は授業改造と直覚的な認識との関連から研究を進める予定である。
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