研究概要 |
研究目的に述べた項目のうち、(1)の「難解な日本語」を初学者がどう感じ、教育上どのような障害が引起こされているかについて調査は、以下に述べるような進展があった。 すなわち本年度の研究実施計画として申請書に記載した、「上記(1)を達成するための準備」である(i)「日本語表現の選定と調査方法の決定」、および(ii)「調査を実施するための準備と調査の実行」は、一部実現した。調査に用いる「日本語表現」としては、「であるための必要条件」「であるための十分条件」を選び、調査校としては東京理科大学理工学部と中央大学理工学部、文学部を試験的に選定し、調査を行った。結果は数学言語研究会(細井,勉東京理科大学教授主催)の各月例会で報告され、批判検討がくわえられている。 研究実施計画には述べなかった分野であるが、理論的な面で次のような進展があった。 すなわち文の前後関係により、「ため」の意味がどう変わるかについて、かなりまとまった知見が得られた。内容は、平成1年度国語学会の秋期大会(茨城大学)で発表され、学会からも支持が得られた。その要旨は、国語学会誌「国語学」第160集に掲載される予定である。さらに「条件」「条件と状態」については、数学会に属する基礎論分科会のシンポジュウム「MLG研究集会」において発表され、賛同が得られた。
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