約130万年前から活動をはじめ、888年に最後の大崩壊を記録している八ケ岳火山について、地質時代を含めた10以上の巨大崩壊堆積物を整理し、とくに相木川岩屑なだれ堆積物(1Km^3)について詳しく検討した。また、約3000年から活動を開始した焼山火山の噴火の特性を、歴史時代9回の噴火を中心にまとめた。 相木川岩屑なだれ堆積物については、分布・層相・層位・体積などを検討し、この堆積物が、北八ケ岳古期に、玄武岩ー玄武岩質安山岩の成層火山体が充分成長しきったあと、突然発生した山体崩壊による堆積物であること、旧山体を構成していた成層ブロックや、破砕された溶岩の大ブロックなどを伴うことを詳しく明らかにした。またその発生源が、八柱山から諏訪門にわたる、大石川源流部の馬蹄形凹地(2.5×1.2〜2.5Km)であることを指摘した。 八ケ岳では、1982年に台風通過の2日後、一部山頂が崩れて、約200万m^3の土石流が発生している。このような可能性ある場所として、水に飽和した軟弱な火山噴出物が大量に堆積している10カ所を指摘した。 焼山については、平安時代以降の噴火史をまとめた上で、イ)0.01Km^3以上のマグマが噴出された、焼山にとっての大噴火が、9・10世紀頃と、1361・1773年の3回あり、その間隔が400年程度であること、ロ)焼山噴火では、火砕流・火砕サージと泥流・土石流も伴う場合が多いこと、ハ)それらは北側の人口密集地である早川渓谷に沿って流下する可能性が高いこと、ニ)とくに噴火初期に火砕サージが発生しやすいことなどを指摘した。以上の上にたって、加害因子別の噴火災害予測図を提示した。
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