研究課題
大規模災害発生時の情報能力にいての研究を行ってきたが、本年度は住民への情報の伝達について調査とシミュレ-ションを行った。住民への情報の提供は、直接または間接的に防災機関が関与するので、まづ防災機関の代表例として東京消防庁の有線、無線の通信系統について調査し、その問題点を明らかにした。次に中央防災機関からの情報を、地域の機関(市役所など)が実際に住民に防災行政無線、広報車などで伝達するのであるが、どの程度これが実現しているかの現状をシミュレ-ションで調べ、検討した。1.東京消防庁の災害通信網は、有線系と無線系から成り立っており、前者は通常時の330本の119番回線(都区内のみ)が、異常時には予備回線に切り替わり直近の消防署に接続されるが、これが1本しかないので災害発生時に輻輳が起こるものと予想される。また、本部から各署所への指令電話は309本用意されているが、これが非常時にすべて活きている事は考えられないので、無線系の確保が必須である。指令電話のバックアップとしては302波の同報無線があるが、これは一方向通信であり、双方向通信は6ケ所の方面本部への36チャンネルしかなく、緊急時に各署所への情報伝達が十分行えるのか危惧を感じる。2.被災地内の住民への情報の伝達方法には、ラジオ・テレビ等のマスメディアの他、防災行政無線、広報車などがあるが、前者は難聴地域が後者は車両の進入が混難な地域がある。地域を50メ-トル平方のメッシュに分け、更に時間を発災直後、救援活動期、調査復旧期に分けて、各種の情報がどの程度伝達されるかを、例を調布市の一部にとりシミュレ-ションで調べた。この結果、情報の伝達にかなりの時間がかかる地域が存在することがわかった。
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