研究課題
本年度は、班全体として、人体に影響する環境リスクの評価手法と基準とを確立するための基本的な考え方および問題点を明らかにするため研究計画に基づいて、環境リスク評価にあたって特に評価すベき諸要因諸要因相互の間の比較衡量評価、評価主体、評価後の措置について検討した。さらに、各分担者はそれぞれの分担課題に沿って次のような研究をすすめた。(1)環境リスクに関する社会的評価についての既存の諸手法を調査、整理したこと。(2)毒性リスクの社会的評価、バイオテクノロジーにおけるリスクの社会的評価、リスクの社会的評価に対する市場原理の果たす役割、リスクに対する法規制のあり方について総論的な検討をしたこと。(3)アスベスト、フロンなどの規制における環境リスク評価の具体例を調査、整理したこと。(4)アメリカのスーパー・ファンド、わが国の公健法、医薬品副作用被害救済基金など、環境リスクの現実化によって発生した被害に対する現状回復および救済手段を研究したこと。これらの研究を通して、環境中の人為起源物質の環境リスクをいかに評価するかにつき、従来の理論および現在存在している諸制度の問題点が明らかになった。これらの問題点をふまえて、今後の環境政策および環境規制(具体的には、化学物質の製造・流通・販売・仕様規制、環境アセスメント、有害廃棄物の規制など)の立案および検討にあたって考慮すべき要因およびその評価方法についてのモデルを提言し、その有用性について検討した。