本研究は、SOG-Siによる一方向凝固多晶型インゴットのキャラクタリゼ-ションと効率劣化の原因の解明を目的とし、特にインゴットが受ける熱覆歴が効率に与える影響を粒界と関係づけて検討した。また、次世代多結晶シリコインゴットのプロセッシングとして期待されているコ-ルドクル-シブル法の凝固シミュレ-ションを行い、インゴット作製条件を検討した。 酸素を多量に固溶した単結晶および多結晶ウエハ-を600〜1200℃で熱処理し、ライフタイムを測定した結果は、前者のライフタイムは減少し、後者のライフタイムは増加した。多結晶インゴット粒内のライフタイムは単結晶と同様減少したが、粒界をはささむ局所ライフタイムは著しく増加した。このような一方向凝固インゴットの粒界はdenuded zoneの生成により純化されていると思われ、このような粒界構造を積極的に利用した太陽電池用セルの可能性が示唆された。なお、光電変換効率は両結晶とも熱処理により劣化し、ライフタイム測定のみを効率の指標とすることは多結晶インゴットにおいては適切でない。この原因は前述の粒内・粒界の析出状態の相違によるものである。 インゴットの熱覆歴を評価するため、輻射を考慮した凝固・熱伝導解析を行い、吸引鋳造、一方向凝固インゴットの最適製造条件の検討手法を確立した。さらに、コ-ルドクル-シブル法に対応するために、電磁誘導法、自然対流を考慮した流動韓固シミュレ-ションを完成させ、これらの流動の凝固に及ぼす影響を検討した。
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