研究概要 |
溶媒和したマグネシウム粒子の調整条件を検討するとともに、初期水素化速度におよぼす因子を定量的に把握し水素化挙動と特性評価をおこなった。また合金-有機物系については、修飾の結果形成されるEDA錯体を解析し、有機物修飾の効果と水素化促進との関係を検討した。 1.マグネシウム金属-有機物系の評価と検討 Mg金属-有機物系試料の調製については、低温の有機マトリックス(THF、ベンゼン、ペンタン)中にMg金属蒸気を分散凍結しておこなったが、調製条件による特性への影響について電子顕微鏡観察を併用して詳細に検討した。ここでは、Mg金属蒸気が有機マトリックス中に高分散されるため生成する金属粒子は有機物によって保護され、有機物修飾は形態的にもMg粒子の熱安定性を著しく向上させ水素化特性を高めていることがわかった。水素化反応では、水素化率aが0<a<0.2-0.4の初期過程においては表面反応により、また後期(0.4<a)にかけては生成水素化物中の水素の拡散によって支配されていることがわかった。 マグネシウム合金-有機物系の評価と検討 Mg系合金(Mg_2Ni,SmMg_3)-有機物系の調製では電子親和性の比較的高い有機物(アントラセン、フタロニトリルなど)を用い、修飾条件と特性について評価検討をおこなった。Mg_2Ni,SmMg_3合金の水素化挙動に関しては、有機物修飾系と未修飾系について動力学的に比較検討した。有機物修飾の結果形成される電荷移動錯体のキャラクタリゼ-ションをおこなった。また、その化学的性質についてH_2-D_2交換反応やESR測定より検討し、合金-有機物系による水素分子活性化と水素化機構を考察した。
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