研究概要 |
コロイド次元で無機粒子と有機粒子を結合させた複合微粒子の調整に関する基礎的研究を行うと共に,セラミックス形成等機能性材料の開発と密接に関係した濃厚コロイド系の性質について検討を行った。 1.無機コロイド(単分散シリカ)と有機コロイド(高分子ラテックス)を適切な条件下でヘテロ凝集させると,大きさと形状が揃ったヘテロ凝集体が形成され複合粒子として有用であることを見いだした。本年度は,複合体調製法を更に発展させるために,両成分粒子を凝集させる際の粒子径比の影響,電解質及び水溶性高分子の添加効果を調べた。 (1)規則的な凝集体を形成するには両粒子の粒子径比を3.5以上に保たなければならない。 (2)シリカ粒子とラテックス粒子を混合する際に,電解質を添加すると,ラテックス粒子がより密に付着した複合体が形成される。 (3)両成分粒子を混合する際に水溶性高分子を添加すると,その添加量や分子量によってラテックス粒子の付着量が著しく変化する。 2.粒子表面と相互作用を示さない高分子や活性剤(SDS)ミセルをコロイド系に溶解させると,いわゆるDepletion効果によってコロイド粒子が凝集したり再分散したりする。本研究では,Depletion効果の,ラテックスのOrder形成への影響を明確にするために,排除体積が大きく,粒子との相互作用を示さない高分子電解質(PSSNa)の添加効果を,先ず,分光学的手法で検討した後,SDSミセルのDepletion効果について検討を行った。 ラテックス濃度を3.48%に固定し,SDS濃度を変化させてゆくと,0.05Mにおいて虹彩色を呈する沈殿が生じた。この沈殿相を光学顕微鏡で観察すると,粒子がClosed Packした結晶状の小塊から成り,これを希釈すると容易に再分散した。この現象はSDSミセルのDepletion効果によって引き起こされたラテックス系の分散性の変化と理解される。
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