研究概要 |
スペ-サ-長が鎖に沿って繰り返し単位毎にm=9とn=10の交互性を有する共重合体 -[φ-OC(O)-φ-O(CD_2)_m-φ-C(O)O-φ-O(CH_2)_nO-]_x- は、前年度までに解析を行った2つのホモポリマ-(m=n=9,10)と同様に、T_<N1>=200℃のネマチック液晶状態をとることが知られている。そこで、隣接するm=9とn=10のスペ-サ-部を別個に重水素化した共重合体試料を合成し、解析した。さらに本年度は、これまでに確立した^2H-NMR解析手法の有効適用範囲を探るため、低分子液晶中に溶解させた重水素化n-アルカン分子の配向挙動の解析も試みた。 スペ-サ-長m=n=9,10の高分子ならびにm=9とn=10の交互磁重合体について、ホモポリマ-に較べてコポリマ-では、m=9の部分の配向秩序パラメ-タは大きくなり、n=10の部分では低下している。また、メソゲンの配向秩序も両ホモポリマ-の中間的な値を示している。交互共重合体の特異性として相隣るメソゲンの中心を結ぶ方向に定義した局所的な分子軸がm=9では大きく(S_<zz>=0.98),n=10では低い(S_<zz>=0.62)と云う分子内偶希性の存在が推定された。 一連のn-アルカン-d_<2n>CD_3(CD_2)_<n-2>CD_3を0.5mole%の濃度で低分子液晶(Merk Phase 5)に溶解し、^2H-NMRで四極子分裂幅 △ν を実測した結果に対し、我々の解析手崩を適用した。各コンホマ-毎に慣性モ-メント・テンソルの最大主軸を分子軸とし仮定して、回転異性状態シミュレ-ションを行った。いずれの化合物についても、計算は実験値を良く再現した。この結果によって、ネマチック液晶場でn-アルカン分子は相当伸びた状態にあることが示された。
|