研究課題/領域番号 |
01604568
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
竹中 亨 京都大学, 化学研究所, 教授 (00027020)
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研究分担者 |
岡村 恵美子 京都大学, 化学研究所, 教務職員 (00160705)
梅村 純三 京都大学, 化学研究所, 助手 (90027061)
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キーワード | 非対称LB膜 / 交互累積膜 / 構造・機能相関 / 分子配向 / 赤外吸収スペクトル / 赤外反射吸収スペクトル / 焦電効果 / 膜電流 |
研究概要 |
極性の大きい発色団を含む両親媒性化合物と、長鎖脂肪酸などとを交互に累積した非対称LB膜は、焦電、電圧、および非線形光学素子としての利用が期待されるため、最近特に注目を集めている。本研究では、このような非対称LB膜中の分子配向の温度依存性を、赤外およびラマンスペクトルを用いて定量的に評価するとともに、膜の焦電性を精密に測定して、LB膜における構造と機能の相関性を解明する。 そのための基礎として、本年度は、ドデシルオキシフェニルピラジンカルボン酸(DOPC)と重水素化ステアリン酸(St-_<d35>)、およびそれらのBa塩の交互累積膜を作製して、室温における分子配向の定量評価を行い、配向を支配する分子間相互作用を検討した。その結果、Ba塩での分子配向はそれぞれ単独膜でのそれとはほぼ等しく、両方の分子は膜面にほぼ垂直に立っているが、酸では大きく傾いていることがわかった。このことは、Ba塩では交互膜中の分子配向が、主として同一層内での分子間相互作用に支配されるのに対し、酸では隣りあう層間での異種分子同士のそれに影響されることを示している。この結果は、Ba塩の場合、隣りあう層間での相互作用が、Ba^<++>イオンを介しての静電結合であるのに対し、酸の場合は、カルボキシル基間の水素結合を介しての二重体形成であることを考えるとよく理解できる。 現在、DOPCとst-d_<35>、およびそれらのBa塩の交互累積膜の赤外透過および反射吸収スペクトルを種々の温度で測定して、分子配向の温度依存性を求めるとともに、高感度電流計によって膜の焦電流を測定している。ついで高感度の電荷結合型(CCD)マルチチャンネル検知器を用いて膜の非共鳴ラマンスベクトルを測定し、炭化水素鎖の規則性の温度変化を研究する予定である。これらの結果を総合することにより、膜の構造と焦電効果との相関性が詳しく検討できると考えている。
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