研究概要 |
(1)電子-正孔分離型量子井戸系の励起子の励起状態について調べた。最初の励起状態はL_1,L_2→Oで2P_X的および2S的となる。束縛エネルギ-からみると、励起状態の方がより2次元性が残る。また、高いサブバンドに付随した励起子の計算では各状態の直交性を考慮することの重要性がわかった。光振動子強度は電子、正孔の井戸からのしみ出しに応じて大きくなり、n_e=n_n、n_e≠n_nの両方が許容遷移になる。(2)対称2重量子井戸系(SDQWs)及び非対称2重量子井戸系(ADQWs)の電子のサブバンド状態及び励起子の電場効果を調べた。(a)サブバンド状態 SDQWsでの電子に対するサブバンドエネルギ-の計算結果は、n=1のレベルは単一量子井戸系の場合と同様にトッドシフトするが、n=2のレベルは大きなブル-シフトを示す。ADQWsでは、電場によりサブバンドエネルギ-は、井戸幅の比σ_<LW>=L_W^<(1)>/L_W^<(2)>>1又は<1によりレベルは反対にシフトする。これらのシフトは電場による波動関数の局在の仕方の変化による。(b)励起子状態 励起子エネルギ-の電場依存性(障壁層が薄い場合)はサブバンドエネルギ-の変化を大きく反映している。SDQWsでは(n_e,n_n)=(1,1)の励起子は単一量子井戸系と同様にレッドシフトするが、そのシフトは量は大きい。なお、障壁層が厚い場合には束縛エネルギ-の減少によるブル-シフトが起る。ADQWsでは(1、1)や(2、2)ではシフトは小さいが、(1、2)や(2、1)では大きい。(3)量子井戸ワイヤ(半径R)のLOフォノンを求めた。バルク型は、井戸内量子化され、許されるフォノン波数が制限される。このため、電子のポ-ラロン効果はバルクの場合にくらべ小さい。界面型フォノンは円の角度方向の対称性に依存するエネルギ-を持ち、界面から遠ざかるにつれて減衰するモ-ドであり、バルク型フォノンとは違った電子-格子相互作用を持つ。
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