研究概要 |
酸化亜鉛バリスタ-の焼成条件による、焼成体の微構造とバリスタ-特性の相互関係を明らかにすることによって、酸化亜鉛系バリスタ-の設計の基礎を確立しようとする目的で、62年度、63年度に引き続き、平成1年度においては試験片を種々の条件で焼成した場合の焼成温度、保持時間の影響を検討した。 ZnO,NbC1_5,及びMn(NO_3)_2・6H_2Oをmol%で98.5ZnO-1.0Nb_2O_5-0.5MnOに配合し、700℃、1h仮焼し、試料粉末とした。仮焼粉末のDTA測定からこの配合物の共融温度が約1285℃であることを確認した。 この仮焼粉末を小円板状に1000kgf/cm^2の圧力で静水圧成形し、1250℃で1h予備焼成した後、Pt箔に封入し、共融温度の1285℃,及びそれ以上の1295,1305℃においてそれぞれ0〜8h保持後空冷、または炉冷して焼成し、測定試料とした。得られた焼結体を厚さ1mmに研磨後、電極としてHg-Inアマルガム塗布、直流二端子法で電圧-電流特性を測定した。顕著な非直線性を示した1285,1295℃で温度保持し空冷した試料の非直線指数αは1295℃焼成の場合には温度保持時間と共に急激に低下し、また1285℃で温度保持した場合には、値は小さいが逆に規則的に増加する傾向にある。またバリスタ-電圧は、温度保持時間が長くなると規則的に低下することが分かる。焼成体の微構造観察から、1285℃焼成の場合には2h以上、また1295℃焼成の場合には1h以上の保持時間になるとZnO粒子と粒界相との濡れ性が良くなる。ZnO粒子も保持時間とともに大きくなる。粒子が大きくなると規則的にバリスタ-電圧が低下することが分かる。さらに一粒界あたりのポテンシャルを計算すると1285℃焼成の場合には約1.2v、1295℃焼成の場合には約2.2vの値が得られた。
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