研究概要 |
マウス4日胚より培養される未分化細胞(ES細胞)を用いる変異マウス作成法は、受精卵へのDNA注入によるトランスジェニックマウス作成法に比し、相同的組換えによる内在遺伝子不活化等に多くの利点がある。しかしES細胞由来の子孫マウズが得られる頻度の著しく低いことがこの系の最大の課題で、我々の検討によればこれは染色体構成の不安定さによると考えられた。そこでLIFの添加、16日胚由来細胞をフィ-ダ-細胞として用いることなどが、ES細胞の安定な培養に効果があるか否かをまず検討し、長期間これらの条件下でES細胞を二倍体に維持できることを確認した。またB6マウス由来の4日胚を宿主胚としてこの様に培養されたES細胞は効率良くキメラマウスを形成し、更には高頻度で子孫マウスを生じることを確認した。子孫マウスが高頻度で得られるようになったので、次にこのような培養条件を用いて相同的組換えによるfyn遺伝子への変異の導入を試みた。 マウスc-fyn遺伝子の第2及び第3エクソンを含むゲノミックDNAを単離し、第2エクソンに発現調節単位を欠くNeo(ポリAシグナル付き)遺伝子を、また3'末端にポリAシグナルを欠くジフテリア毒素遺伝子(発現調節単位付き)をネガティブ選別用に付加したDNAを,エレクトロポレ-ション法によりES細胞に導入、G418耐性コロニ-についてザン法により相同的組換え体を同定した。現在これらのES細胞についてキメラマウス作成を検討している。
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