メダカを用いた移植片拒絶反応については、昨年までに2つの近交系間でうろこの相互移植を行った結果、7日から8日で急激な移植片の生残率の低下が起こること、F2個体へ親系統のうろこを移植することによりこの期間に起こる移植片の拒絶には少なくとも2つの遺伝子の関与が推定されることが明らかとなった。 そこで、メダカのアロ抗原を捕らえることからMHCの迫ることが正攻法と考え、血球表面のアロ抗原に対するモノクロ-ナル抗体の作成を試みた。まずメダカの血球細胞をタ-ゲットとするエンザイムイムノアッセイ法を開発した後に、近交系HB11Cの細胞をマウスに感作させ、HB11Cの細胞には結合するが他の近交系とはクロスしないクロ-ンを検索した。こうして得られた2つのモノクロ-ナル抗体は、HB11Cの他HB12Aの血球細胞とも強く結合したが、HO4C、HO5、NIGとほとんど結合しなかった。 これらのモノクロ-ナル抗体の結合能の系統分布は全く同一であることから同じ抗原決定基を認識している可能性が高い。また、結合能から近交系は高い系統(HB11C他)、低い系統(NIG他)、それらの中間型の系統(HB32C他)の3群に分けられた。蛍光抗体法による組織学的な観察から、この抗原の分布は腎臓の造血系の細胞や肝臓内の一部の細胞であることが明らかになった。
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