1.前年度までに調製法を確立した反応中心色素蛋白複合体について、性質を検討した。P700あたりのクロロフィルは40〜50分子で大部分はクロロフィルaであった。鉄及び酸不安定型イオウはいずれもほぼ4原子であった。またビタミンK_1を1分子含むことが分かった。閃光分光法で光化学反応の活性を解析すると、P700の他に430nm附近を吸収極大とする別の吸収変化が観察された。P700の等吸収点444nmで測定するとその減スイの半減期はメチルビオ-ロ-ゲンの様な電子受容体のデン加で短くなる。差スペクトルはP430に似ていることから鉄イオウ中心FeSxの光還元に由来すると結論した。 2.前々年度に、分子量9千程度のタンパクを反応中心色素蛋白複合体を構成しているサブユニットの一つとして単離し全アミノ酸配列を決定したが、この遺伝子(psaC)を好熱性ランソウ(Synechococcus vulcanus)のDNAからクロ-ニングし、塩基配列からアミノ酸配列を求めた。その結果、このタンパクの特性である9個のシスラインの位置をはじめとしてほとんどのアミノ酸配列が保持されていることが分かった。タバコ葉緑体DNAの遺伝子を100%としたとき、このランソウでは87.5%のホモロジ-があった。 3.タバコ葉緑体DNAのpsaC遺伝子を大腸菌のDNAに組込み、発現させることが出来た。現在大型サブユニットの遺伝子であるpsaAとpsaBについて同様に大腸菌での発現を試みている。psaBについては抗体ブロット法で発現が確認された。これによりタンパクとしての分離が困難なAとBを別々に得て、それぞれに特異的な抗体を得ることを計画中である。
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