研究課題/領域番号 |
01621509
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
後藤 司 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (60136851)
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研究分担者 |
西 孝子 鹿児島大学, 医学部, 助手 (30189245)
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キーワード | 眼外光受容細胞 / 軟体動物神経細胞 / 細胞内光情報伝達系 / 細胞内伝達物質 / 光感受性K^+イオン・チャネル / 脊椎動物視細胞類似の光応答 / cGMP / イノシト-ルミリン酸 |
研究概要 |
我々はこれまで軟体動物イソアワモチの未分化の眼外光受容器、光受容性神経節細胞において、脊椎・無脊椎両動物視細胞の間に類縁関係が考えられるような、細胞内光情報伝達機構を見い出した。即ち当該光受容細胞のcGMPレベルの減少が光受容器電位を仲介し、IP_3はその時受容器電位(光応答)を増大させるような修飾作用を示した。当該研究はこれまで測定の指標とした光感受性K^+イオン電流のように単一細胞全体の現象を新たに分子レベルの膜チャネルの開閉現象に掘り下げて光変換機構を解明するのが目的である。かくて、主にノイズ解析及びパッチクランプ法によって実験を進めた。 暗時と照射時との電流のゆらぎの差パワ-スペクトル(即ち光感受性K^+イオン電流のパワ-スペクトル)は静止レベルの膜電位においてコ-ナ-周波数1.5〜3hzの一つのロ-レンツ型の分布をし、開と閉状態の二つの間を移動するK^+イオン・チャネルに由来するものであることが暗示された。暗時において、開状態のチャネルの確率が非常に小さいと仮定すると、このチャネル(単位コンダクタンス)は10〜15pS、その平均の開口時間は50〜100msと算出できた。この平均開口時間は光の強さに関係なく、一定でこれまで暗示されたようにK^+チャネルが閉じる(光応答の)仕組みが、cGMPの光による減少にあることをさらに支持する。また、光応答はチャネルの開状態へ移行する速度定数が減少することによって発生し、閉状態への速度定数の変化によるものでないことが暗示された。 チャネルのパッチ・クランプによる直接的な測定結果は上述のノイズ解析の結果と矛盾していない。今のところ、チャネル記録の成功例数が足りないが、当該研究の最終目標であるK^+イオンチャネルとcGMP及びIP_3が作動する分子レベルの機構の解明を続けている。
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