研究概要 |
本年度は、乱流拡散火炎の可視波長域発光現象の結果として生じる火炎色情報を利用することにより、比較的大規模な二次元渦火炎構造の観察を行った。このために以下に示す項目について検討を行い、同時に行われた成果についても示す。 1.火炎色の定量化 火炎色を定量的に表現することにより、火炎の色情報を燃焼計測のための一情報はとして利用可能とした。具体的には色彩学法に基づいて火炎色をCIE等色関数に基づく色度座標(X,Y,Z)により表現することが可能となった。 2.火炎色と空気比あるいはラジカル濃度分布との関連性の検討 火炎色は、反応帯に存在するラジカルの発光や化学反応の結果として生じるために、ラジカル濃度分布や空気比と関連性をもつことが予想される。この関連性について検討した結果、プロパンを燃料とした場合、色度座標は空気比に対して一意的に変化し火炎色から空気比の予測が可能であることが示された。また、火炎の発光源が限られている場合には火炎中のラジカル発光強度分布を予測できる可能性が示された。 3.火炎色による乱流火炎構造の観察 (1)乱流拡散火炎の基本特性の把握 本年度は、ブラフボディ後流に形成される拡散火炎を対象とし、とくに再循環領域と主流の境界せん断領域に形成される渦火炎に注目した。この構造を高速度シュリ-レン像、温度変動、イオン電流変動により観察しその火炎構造の規則性あるいは火炎の渦構造を明らかにした。 (2)火炎色による乱流火炎構造の観察 上記の火炎を対象とし火炎色による火炎構造の観察を行なった。渦火炎中の空気比分布などの推定を行い、(1)で得られた結果と矛盾のない分布であることが示された。
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