研究課題
従来使用していたヘニエイ法による恒星内部構造進化モデルを計算するためのプログラムを、最新の熱核反応率(Caghlan and Fowler 1988)の導入、ニュートリノフラックスの算出などの改良を加え計算を行った。標準太陽モデルの計算を行い、そのニュートリノフラックスとして、5.8SNUを得た。この値はBahcall and Ulrich(1988)による標準モデルの値7.9SNUに比べて小さい。これは、我々のモデルの中心温度が彼らのモデル化に比べて約2%低い事に起因するが、この違いは計算につかわれた吸収係数表の違いから来ているものと思われる。原始太陽から太陽に至る進化の計算において、普通の太陽標準モデルでは化学組成均一の水素燃焼段階モデルを初期モデルとして計算を行なうが、厳密には原始太陽が水素燃焼段階となったときには以前におこった核反応によって化学組成が変化を受けており均一でない。この効果を見るために、中心温度が十分低い段階から計算を開始して太陽モデルをつくって、主系列段階から始めたものと比較したが、両者の違いは無視できるくらい小さいものであることがわかった。さらに、数値計算上のパラメータ、time step、mesh数などの結果に及ぼす影響を調べたが、通常使われている値で問題ないことがわかった。以上のことから、太陽ニュトリノ問題は標準太陽モデルの持つ不確定性では説明できないという結論に達した。南方は、ニュートリノが有限な磁気能率を持っている場合には太陽磁場中での共鳴的香りースピン回転の効果によった太陽ニュートリノ問題が解決され得ることを示し、また、太陽ニュートリノフラックスによって太陽磁場についての情報を得ることが出来ることを示した。
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