研究課題/領域番号 |
01629007
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研究機関 | 東京情報大学 |
研究代表者 |
渡辺 正 東京情報大学, 経営情報学部, 助教授 (20030786)
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研究分担者 |
北風 和久 東京情報大学, 電算センター, 助手 (10204869)
戎 健男 神戸大学, 理学部, 助手 (50090543)
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キーワード | 低温粒子検出器 / 暗黒物質 / 準安定超伝導 / superheated superconducting granule / 相転移信号 / 転移磁場 / マイスナー効果 / 球状金属微粒子 |
研究概要 |
超伝導金属粒子系を標的部とし極低温で働く素粒子検出器の開発研究を行った。これは近い将来、宇宙由来素粒子、暗黒物質の検出を試みることを狙ったものである。良好な球状表面をもつ金属微粒子(1〜300μm)は、一定の温度・磁場のもとで熱力学的な準安定な超伝導状態にあり、適量の刺激を与えて常伝導状態へ相転移させることが可能である。マイスナーの「磁束排徐現象」が破れ、検出コイルに誘導される起電力が信号として取り出される。刺激としては熱的、磁気的二つの種類が可能で、飛来粒子を選別検出する機能としても有用である。 1.本年度前半は主に、放射線源^<241>Amを用いてα線を照射し、熱的に相転移する錫粒子の信号波形の観測を1粒子毎の行った。転移に必要な印加磁場と入射エネルギーとの関係(転移磁場)、エネルギー感度、転移の所要時間、信号超電力の大きさなどの基礎的データを得た。 2.今年度後半は、上記の実験結果を踏まえ、液体^4Heの温度領域(2〜3K)で作動するプロトタイプの検出器を作成した。標的部は17mm×17mmの大きさをもち粒径190μmの錫粒子を1000粒以上含む一面からなる。信号読み出し回路は、標的の上・下面にそれぞれ4チャンネルずつ、X,Y方向に張られている。この小型検出器作成の目的は、長時間運転の際の安定性の検査、雑音の大きさのチェックにある。延べ650時間に及ぶ動作テストを行って必要なデータを得、解析中である。 3.さらに、極低温領域(50mK前後)で100eV程度の損失エネルギーの対して感度をもつ本研究の主目的である小型検出器の作成を目指して、より微小な錫粒子(〜10μm粒径)の作成、SQUIDを用いた磁化測定装置の製作、および液体ヘリウム3によるフロー型冷凍機の製作に取りかかっている。
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