研究概要 |
1.ACuO_2(A:アルカリ土類) 広い範囲の組成、すなわちA=Ba〜Sr〜Caの範囲で、1000℃、6×10^4気圧の条件下での処理を加えたところ、A=Bay_3Sr2/3〜Sr2/3Ca1/3の範囲で、CuO_2とAイオンが共に層をなして積み重ねられる構造をつくり出すことができた。結晶構造、磁性の測定を行ない、CuーOーCu距離の、Aイオン半径に対する依存性を決定し、また、CuO_2面間に強い反強磁性相互作用の働くことを明らかにした。しかし、Aの希土類やアルカリ金属による置換、Aの欠陥の導入、OのFによる置換の試みは、これまでのところ不成功に終わっている。現在は、出発原料の改良、およびプラズマ化した気体の注入によるキャリアの注入を試みている。 2.Nd_2CuO_4型構造をとるR_2CuO_4(R:Y,Dy,Ho,Er,Tm)の高圧合成 NdCuO_4は、電子をキャリアとする超伝導体の母相である。常圧下では、Nd〜Gdの範囲でのみこの構造が得られるが、1000℃、6×10^4気圧下では、その範囲が広がり、R=Y〜Tmについてこの構造の安定化されることが明らかになった。結晶構造と磁性に関する測定を行い、CuーOーCu距離が、ピラミッド状に配位されたCuを含む酸化物に見られる程度にまでも、短くなること、Y_2CuO_4が、150Kをネール点とする弱強磁性体であることが明らかになった。1に記したものと同様に、キャリアの注入を試みている。 3.NiO_2層を含む酸化物について La_2NiO_<4+δ>、La_<2ーx>Sr_xNiO_4、及びLaNiO_2を合成し、構造と電磁気的性質を調べた。第1の化合物は、酸素量により大きく磁性を変えるが、その過剰酸素原子が、結晶内で秩序配列されるという重要な発見があった。第2の化合物は、金属的な伝導性を示す組成は得られたが、超伝導性は見出せなかった。
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