研究課題/領域番号 |
01631511
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松浦 民房 名古屋大学, 理学部, 助教授 (10022609)
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研究分担者 |
小栗 章 名古屋大学, 工学部, 助手 (10204166)
高野 健一 名古屋大学, 理学部, 助手 (00197112)
前川 禎通 名古屋大学, 工学部, 教授 (60005973)
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キーワード | 酸化物超伝導 / d-p模型 / 1@N展開法 / スレ-ブボゾン法 / 強相関電子状態 / グラスタ-数値計算 / t-J模型 / 重い電子系 |
研究概要 |
銅原子上のdx^2-y^2軌道と酸素原子上のpσ軌道を考え、その間の遷移積分tpd、dx^2-y^2上のク-ロン斥力Udをもつd-p模型から出発した。Ud>>tpdのときには、すでに有効ハミルトニアンを導出し、局所一重項状態が生じることを示した。しかし、空孔濃度を増大させたとき(ド-ピング)この一重項状態がどのように伝導帯を作り、超電導に寄与するかは明らかではなかった。本グル-プはUdによる局所相関効果を取り入れる有力な方法として1/N展開法を発展させた。次に1/N展開法を適用してd-p模型の電子状態を調べた。ド-ピングを行うとpσ軌道の直上に新たにギャツプ間準位が発生し、ド-ピングとともに成長していくことが分かった。この準位は一重項状態成長したものであることも判明した。光電子分光実験の結果ともより一致が得られている。この一連の研究によりd-p模型のエネルギ-スキ-ムは基本的に解明された。 次にこれらの準位をもったd-p模型がどのような物性をもつかについて研究を行いつつある。予備的研究結果はすでに科研費報告会で発表しているが、近く投稿予定である。 一方、数値計算に基づいて、有効ハミルトニアンのパラメ-タを決定する仕事も同時に行なってきた。銅のd軌道上の斥力Udを大きくするとd軌道を経由したp軌道間の間接遷移は次第に減少すること、またd軌道とp軌道との交換積分Jの大きさも減少する効果を得た。この結果は予想と一致し正しいと思われる。 これで低エネルギ-、低温度の物性解明に咸力を発揮する有効ハミルトニアンの諸パラメ-タの値をきめたと言える。 以上の大きく分けて三つの方向で進めてきた本年度の研究によって当初の研究計画は、基本的に達成されたと言える。
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