研究概要 |
前年度においては、より寿命の短い分子、特にけい素を含む短寿命分子を容易に検出し、その化学的振舞を追路可能にする目的で、ミリ波サブミリ波分光器の感度の向上及び高温吸収セルの開発をおこなった。本年度は、この高感度分光器及び高温セルを用い、けい素を含むプラズマ中に存在する分子や高温生成分子の検出、分光をおこなった。 1.含けい素直線炭素鎖分子C_4Si、国立天文台野辺山宇宙電波観測所45m電波望遠鏡により炭素星IRC+10216の周辺雲から検出されていた6本の末同定線を、実験室マイクロ波分光の結果に基づいてC_4Siのスペクトルに同定した。C_4Siの生成にはSiH_4i、C_2H_2、Co混合気体のグロ-放電を用いた。この際、Coの添加は不可欠であった。この結果、C_4Siの新しい星開分子としての宇宙における存在が確立した。 2.新含けい素ラジカルHSiS(^2A')今まで分光学的に全く知られていなかった新しい含けい素ラジカルHSiSの回転スペクトルをSiH_4及びOCSの混合気体の放電を用いて検出した。スペクトルは、非対称コマ二重頃ラジカルの複雑をパタ-ンを示したが、約130本のスペクトル線を帰属、解析した結果、HSiSの詳細を分子定数を決定し、このラジカルの分光学的特徴を初めて明らかにできた。この結果は、今後、他の新しい含けい素化合物HSiO、H_2SiO、H_2SiSなどの化学への展望を示すと考える。 3.AIS(^22^<2-+>)ラジカル、高温セル中で、アルミニュウムの蒸気を1,100〜1,300℃で発生させ、これにOCSを反応させてAISを生成し、そのマイクロ波スペクトルを初めて検出した。ミリ波領域で多数のスペクトル紙を測定し、その詳細を分子定数を決定した。このような高温金属蒸気を利用した新しい分子の生成法は、含けい素化合物にも適用できると考える。
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