研究概要 |
1)装置の改良……助成金によりマイクロコンピュタ-を購入し測定と解析の自動化・効率化を行い、また真空バルブを購入し排気系の操作性の効率を高めた。赤外部の発光スペクトル測定装置の改良と調整を行い精度の高い測定を可能とするよう試みた。 2)シラン測定……シランと電子の衝突により生成する励起水素原子のバルマ-線をファブリペロ-干渉計により高分解能で測定し、ドプラ-線形より励起水素原子の並進運動エネルギ-分布を求めた。これをもとに励起水素原子の並進運動エネルギ-別の生成断面積及びその電子エネルギ-依存性を求めた。3つの成分の生成断面積の電子エネルギ-依存性は互いに異なることを見いだした。 3)エチレンの測定……同様の手法でエチレンと電子の衝突により生成する励起水素原子の並進運動エネルギ-分布を求めた。励起水素原子には4つの成分があることを見いだした。それらの並進運動エネルギ-分布の中心としきい値は、しきい値の低い順に(1)0.5-1eV,19.2eV,(2)2eV,23.9eV,(3)3-5eV,39eV,(4)5-10eV,?。また40eVでの角度差ドプラ-線形は上に凸であり、励起水素原子は電子ビ-ムの方向に遷移モ-メントがある遷移により生成している。 4)方位量子数別生成断面積……従来断面積の測定はせいぜい主量子数別にしかされておらず、方位量子数別の取扱いは未開拓の分野である。以前、水素と電子の衝突により見られるバルマ-線のdecay curveの解析により励起水素原子(n=4)の4s,4p,4dの断面積を求めていたが、このたび赤外領域のパッシェン線の断面積の測定を行い、4fの生成断面積の測定を試みた。赤外部の発光測定は未開拓の分野であり、実験上の困難が多く、定量的な結果は今後の課題である。
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