本研究は、任意の断層面を瞬時に取り出したり、組織の立体表示を高速に実現できる実体像表示システムを設計製作し、3次元的な体内の構造や状況を認識するためのシステムを作成することを目的としている。本年度の研究成果を以下に記す。 1.本システムは、3次元アドレス発生回路により3次元メモリを高速にアクセスし、任意断面を瞬時に取り出して表示することができるものであるが、3D画像メモリを128×128×128から256×256×256のサイズに拡大し、より精密なデ-タを取り扱えるようにシステムを拡張した。 2.平滑フィルタ、微分演算回路、空間ウインドウ処理回路等のハ-ドウェア回路を付加し、システムの処理速度の向上を計るとともに、3次元メモリをアクセスするアドレスバスに付加回路をつけて任意断面の動画表示機能を構成した。これにより、周期的に変動する3次元充満物体の拍動断面形状を拍動状態のまま任意の位置を切り出してオンラインで観察することが可能となった。 3.MRI心臓断層から心臓各部立体構成を行い、その拍動状況の表示および心機能の表示手法についての検討を行った。 4.各臓器の任意断面形状、3次元形状、および拍動などが、対話的にオンラインまたは極めて短時間で表示されるので、患部のイメ-ジが容易に把握でき、医師の的確かつ迅速な診断への有効な画像ワ-クステ-ションの一部として使用されることが期待できる。 本システムはパ-ソナルコンピュ-タから送られるマイクロコ-ドにより制御されており、種々のソフトウェアを付加することにより、より使いがってのよいシステムにすることが可能であり、今後種々の問題に適用していく中で改善していくことが必要であろう。
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