本研究は、オブジェクト指向パラダイムを用いたデ-タベ-スシステムを基盤とし、その上で種々の作業を行なう環境を実現することを目標とし、そのための実現技術に関して研究を行なうものである。具体的には、(1)ハイパ-メディアとオブジェクト指向デ-タベ-スの結合、(2)作業環境構築のための操作の部品化、(3)ビデオデ-タベ-スのためのデ-タモデルとユ-ザインタフェ-ス、(4)オブジェクトの合成操作の理論的検討などを行なった。(1)から(3)の概要は次のとおりである。 ハイパ-テキストシステムの本格的実用化を目指すためには、そのデ-タ内容の追加・削除・更新にともなって必要となる、(文書間の)リンク情報をいかに効率的に更新するかという点がきわめて重要となる。我々は各文書を属性値・テキスト表現つきのオブジェクトとみなし、文書間リンクを陽に設定するのではなく、その代わりに、オブジェクト指向デ-タベ-スへの質問をリンク先に設定することにより、上記の問題点が軽減できることに着目し、この考えに基づいたシステムTextLink-11を開発した。 デ-タベ-スを用いて種々の作業を行なうために、検索したデ-タ(関係表)の上で直接種々の操作やプログラムを起動できるような環境の実現を目指し、そのために必要な操作を部品という形で組込みめるようなシステムを試作した。例えば、検索したデ-タの一部の表示形式を変更したり、パラメ-タ化されたデ-タベ-ス質問を行や列に操作部品として張りつける機能を有している。 レ-ザディスクなどのビデオ情報を内容を非線形・対話的に利用しようとするために、オブジェクト指向モデルの観点からビデオデ-タベ-スモデルの構築を行い、また、これに基づきビデオデ-タの記述・検索システムを試作した。
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