研究概要 |
イノシト-ル1,4,5-三リン酸(D-IP_3)を認識する蛋白質として、D-IP_3受容体、D-IP_3-5-ホスファタ-ゼ、D-IP_3-3-キナ-ゼの三種がある。これら三種の蛋白のIP_3認識ドメイン構造の解明を目的とし、イノシト-ル環2位の水酸基に種々の置換基を付与したDL-IP_3-3アナログを合成した。さらに光学分割したD-,L-体のそれぞれについても三種のIP_3認識蛋白に対する影響を検討した。 1.赤血球ゴ-ストIP_3-5-ホスファタ-ゼによるD-〔^3H〕IP_3からD-〔^3H〕IP_2への加水分解は、DL-IP_3アナログにより濃度依存的に抑制された。有効な基質はD-IP_3であるにも関わらず、2位に置換基を付与したアナログでは、L体が有効にホスファタ-ゼ活性を抑制したが、D体は全く無効であった。この際、置換基の種類によって有効性が異なっていた。アミノ安息香酸を付与したL型アナログのKi値は3.8μMであったのに対し、アミノシクロヘキサンカルボン酸を付与したL型アナログのそれは102μMであった。 2.脳可溶性分画のD-〔^3H〕IP_3-3-キナ-ゼ活性、および小脳ミクロソ-ム分画へのD-〔^3H〕IP_3結合活性いずれも、非放射性D-IP_3により濃度依存的に抑制された。IP_3アナログでも有効なのはD体で、L体は無効であった。抑制の濃度要求性はアナログでも劣っているということはなかった。また、置換基の種類による違いも認められなかった。 これらの結果から、D-IP_3-5-ホスファタ-ゼの活性中心はイノシト-ル環2位の水酸基を認識するが、これに対してD-IP_3-3-キナ-ゼやD-IP_3受容体の活性中心は2位の水酸基を認識しないことが示唆された。
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