1・基本資料の収集は主に東南アジア考古学関係の学術雑誌などの図書を約90冊購入し、奈良国立文化財研究所図書室に寄贈した。これらの図書には、SPAFADigest.Vols.IIーIX(16冊)、Muang Boran Journal:Vol.7〜14(29冊)、Publications de L′ecole Francaise D′extremeーOrient(8冊)など、が含まれている。 2.東南アジア各国の遺跡地名表を作成するために、国毎に遺跡関係デ-タの集積を行った。その結果は、タイ=920遺跡(原史時代まで)、ヴェトナム=276遺跡(旧石器時代とホアビン文化・バクソン文化期)、マレ-シア半島40遺跡(旧石器・ホアビン文化・新石器時代)、インドネシア75遺跡、(旧石器・ホアビン文化・新石器時代)、台湾413遺跡(台湾原住民の原史時代の遺跡のみ)である。このうち、タイと台湾はほとんど地名表の形に整理できているが、他地域のデ-タには、遺跡数だけを確認できたにとどまる所もある。フィッリピンについては、最近の政治的動乱により作業が大幅に遅れている。 3.デ-タベ-ス化に際しての問題点。遺跡名や所在地名などは基本的に欧文表記によって統一する予定であるが、タイ語は欧文表記する規則がない。また、マレ-語やインドネシア語は発音を欧文表記する規則が採用されているが、ヴェトナム語は、アルファベット以外にD(J・Zに相当)という独自の文字があり、これに声調記号が付く。タイ語は英語訳表記を用いたが、できればタイ語のコンピュ-タ-入力が望ましい。 4.東南アジアの中でも、地域によって文化期に違いがあり、絶対年代によってその時代の遺跡分布を概観することが現状ではかなり困難である。さらに、C14年代も1960年代のものはサンプリングに問題があり、全く信頼をおけないものであることも、問題を複雑にしている。
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