研究概要 |
1.コラ-ゲンタンパクの構造解析:出土人骨11体から、低温で脱灰する緩和な条件でコラ-ゲンを調製しアミノ酸分析値を求めたところ、弥生時代の一試料を除きコラ-ゲン特有の組成値を示した。異常値を示した試料はコラ-ゲンに特徴的なプロリンが検出されず、同位体分析でも異常値示したことからコラ-ゲンが調製できていないと考えた。一方ヒスチジン、チロシン等科学的にやや不安定なアミノ酸が減少傾向にある試料もあるが必ずしも試料の年代とは一致しない。出土人骨の保存状態の把握が重要である。コラ-ゲンタンパクのアミノ酸配列決定を目的とし、まずブロムシアン分解による断片化とペプチドの精製を試みたが成功には至らなかった。これは試料の保存期間が長いことによるメチオニン残基の酸化的化学修飾や、試料が成人から得られたものであるためコラ-ゲンサブユニット間の架橋形成によると考えた。そこでコラ-ゲンのアミノ末端およびカルボキシ末端部分の化学修飾によるマ-カ-付けとコラ-ゲン分子の中央部分のコラ-ゲン分解酵素による細断片化を目的とし、ニシの化学修飾試薬の有効性を検討している。 2.ヒトレトロウィルス感染の血清および分子疫学:ゼラチン凝集法ではインドの中西部および南部のヒトの試料で陽性反が見られたが蛍光抗体法では抗体陽性者は0.2%以下であることが確認された。他方プロウィルスゲノムの構造では、クロ-ニングされたプロウィルスゲノムのpx領域内の制限酵素PstI,HpaI切断部位は、日本人由来の分離細胞株入ATKIと入23-3との中間のパタ-ンを示した。保存性の高いと考えられているpX領域で塩基発列に1%以上の変化がみられた。
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