金属-半導体界面における現象を原子レベルで理解することは、今後の半導体マイクロエレクトロニクスの発展を考えると、ますます重要となりつつある。そこで本研究では、超高真空下でよく定義された状態での、界面形成初期過程における、金属および半導体原子のミクロな構造を、高速ならびに低速イオン散乱により調べることを目的としている。本年度は、数多くの系の中から、Ag/Si(111)-7x7系をとりあげ、1-5モノレヤ-の膜厚における構造を調べた。その結果、(1)Si(111)-7x7-清浄表面には、表面から6原子層におよぶ縦方向の原子変位が存在し、DASモデルを緩和させた構造であること、(2)室温でAgを蒸着すると、縦方向の変位が緩和されるこ、(3)高温(400℃)で蒸着すると、逆に縦方向の変位が清浄面の場合よりも大きくなること、(4)高温で形成される2次元吸着層である√<3>×√<3>構造は、1モノレヤ-のAgが最外層にあるような構造であること、などが明らかになった。また、このような超高真空における研究と並行して、ガラススパッタ膜/SiO_2/金属/Si積層光導波路における、金属電極の界面構造と電気光学特性との相関を調べた。 以上の成果をふまえて、次年度は、清浄表面あるいは界面形成初期の構造をあらかじめ修飾することにより、特定の界面構造を実現することの可能性について、研究を進めたいと考える。
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