まず、超新星爆発直後のレーリー・テーラー不安定について線形解析を行った。東京大学の野本らによる現実的な流体力学モデルを超新星爆発のモデルとして採用した。その結果、水素に富む層とヘリウム層の境界やヘリウム層と炭素・酸素層の境界が、レーリー・テーラー的に極めて不安定になることを発見した。爆発初期にあった擾乱は爆発中に百倍から千倍にまで成長する。これは、野本、茂山と供著の論文としてAstrphysical Journal誌に掲載された。われわれの結論の正しさは、その後、京都大学の蜂巣らをはじめとするたくさんのグループの多次元シミュレーションで確かめられた。 超新星爆発におけるレーリー・テーラー不安定の多次元シミュレーションは国内の多くのグループで行われていたので、われわれは方針を変えた。レーリー・テーラー不安定で成長した擾乱は非線相互作用の結果乱流を作る。この様な乱流による混合が超新星でも重要であると考えられるが、多次元シミュレーションでこの過程を計算するのは極めて難しい。そこでわれわれは地上実験で得られたデータをうまく再現する、半現象論的なモデルを超新星爆発に適用することを試みた。今後この試みを発展させ超新星爆発における物質混合を明らかにしていきたい。
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