超新星1987Aの母天体が爆発前に青色巨星だったことは、特異な光度曲線とともにこの星の大きな特徴となっている。この原因については、質量放出と、林ラインでのヘリウムの混合があればよいということだけわかっていたが、星の内部構造の立場からみて理論的にはまだよく調べられていなかった。 そこで本研究では重い星の内部構造を求めて、どのような場合に星が青くなるのかを調べた。 まずマゼラン雲での元素組成をもつ、質量が13-23M_◎付近の星の内部構造の解を求めた。この領域の星は、主系列から少し進化したあとでは、質量放出をして全体の重さがコアに比べて相対的に軽くなると、表面温度の高い解がなくなり、林ラインの解に移動せざるをえないことが分かった。次に水素層に含まれるヘリウム量をかえていくと、ある量以上になると解が三重構造となり、林ライン以外に青い星の解があらわれることが分かった。三重構造の解がでた時にかぎり、星は青くなることができる。星の進化計算では、この3つの解のもっとも赤い解から、青い解へ移動することも確かめられた。 次にわれわれの銀河の重元素量をもつ星について同じことを調べた。この場合にもやはり解の三重構造があらわれるが、マゼラン雲の場合よりややパラメタ領域が狭いことが分かった。 この解の三重構造は、セファイド星のHR図上のル-プと共通点がある。セファイドの場合は真ん中の解が不安定で実現されないことが理論的に示されているが、超新星の場合にも同じことが言えるかは、今後の課題である。
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