マウステラトカルシノ-マF9細胞を用いて、腫瘍性増殖から細胞分化への切り替えに決定的役割をはたす遺伝子の温度感受性(ts)変異株と考えられるものを分離できたので、この遺伝子を解析する。 野生型F9細胞よりmRNAを抽出しcDNA libraryを作成しこれを用いてts変異株をtransformした。G418耐性細胞を選択した後軟寒天培地中且つ高温で培養すると、高温耐性の野生型marker rescue株、約40株が分離できた。各株細胞よりゲノムDNAを抽出し、制限酵素Sal1で処理後ligationを行い、これを用いてtransformationを行った大腸菌よりplasmidを回収した。この様にしていくつかのcDNAのロ-ンを分離したが、それらについて2次のframsformationを行っている。 ts変異を補う事のできる正常ヒト染色体を明らかにするため、細胞融合によって高温且つ軟寒天培地中でのコロニ-形成能を持つ細胞の分離を試みた。ts変異株は高温でヒト正常細胞は軟寒天培地中で、それぞれ増殖できず、融合細胞のみが増殖できる。PEG1500を用いた細胞融合により、数10種の融合細胞株を分離し、これらを高温・軟寒天培地条件で増殖させる事によってヒト染色体の内ts変異に関連したものだけを選択的に残す様にした。この軟寒天培地中のコロニ-よりDNAを抽出し、ヒト細胞に特異性を示すAluプロ-ブを用いて、サザンブロッティングを行っているが、ヒ殿特異配列が確認された株について、これらの融合細胞内に残存したヒト染色体の分析を行う予定である。
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