本研究は、大腸菌及び他の腸内細菌における硫黄化合物の循環代謝の一連の制御、いわゆるサルフェ-トレギュロンの遺伝子構成を明らかにすることを目的とする。 筆者らは、すでに、サルフェ-トレギュロンのうち、アリ-ルスルファタ-ゼとモノアミン酸化酵素の両遺伝子とその調節に関与する遺伝子をクロ-ニングした。約12kbのDNA断片の内、約8kbのDNAの塩基配列を決定した結果、両酵素遺伝子が隣接して別々のオペロンを構成し、それぞれ2つのORFかならり、一つは酵素の構造遺伝子であり、一つは未知遺伝子から成っていることが分かってきた。 本研究では、これらクロ-ン化遺伝子を用いて、以下の研究を行った。 1.サルフェ-トレギュロンの内すでにクロ-ニングしたアリ-ルスルファタ-ゼ(ats)-モノアミン酸化酵素(tyn)系遺伝子領域約12kbの残り4kbの全塩基配列を決定した。 2.各ORFの転写単位とそのRNAの転写制御を、S1-マッピング、ノ-ザンブロット法などで解析し、オペロンを決定した。 3.atsオペロン内にあるatsB遺伝子のdeletion解析等により、atsBはatsA発現を正に調節する因子をコ-ド指定することを明らかにした。 4.上記クロ-ンをプロ-ブにして、大腸菌の類似遺伝子をクロ-ニングを試み、Koharaバンクの27分にあることを突き止めた。 5.さらに、残りのサルフェ-トレギュロンに関与する遺伝子のクロ-ニングを試み、6つの遺伝子を分離した。
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