1カルシウム依存性ド-パミン放出 網膜内ド-パミンニュ-ロンからのド-パミン放出はカルシウム依存性であることが知られている。そこでこの放出にプロテインキナ-ゼc(PKC)系が関与しているかどうか検討した。まず最初に網膜可溶性分画中のPKC酵素の諸性質を調べたところ、発癌プロモ-タ-(TPA)やジアシルグリセロ-ル(OAG)で、直接活性化され、阻害剤H_7で抑えられた。次にPKCのモノクロナ-ル抗体を用い網膜組織の免疫組織化学を行なったところ、桿体型双極細胞とド-パミン細胞が染め出された。そこで^3Hド-パミンをあらかじめド-パミン細胞に取り込ませ、TPAやOAGを添加(3分間)したところ、ド-パミン放出が有意に促進された。また、HPLC-EC法を用い、内在性のド-パミン放出を追跡したところ、同様にこれらSPKC賦活剤によりド-パミン放出が2・3倍増加した。PKC抑制剤であるH_7やスタウロスポリンの同時添加により、これら放出はほぼ完全に抑えられた。次いでこのド-パミン放出に伴なうPKCによるリン酸化基質を検索したところ、約38KDaのタンパクが比較的短時間(3分間)でリン酸化された。現在この基質とド-パミン放出との関係を追求中である。以上網膜ド-パミン細胞からのド-パミン放出にはPKC系の関与が強く示唆された。 2.カルシウム非依存性GABA放出 網膜外水平細胞はGABAを含有し、そのGABA放出は外液のカルシウムに依存しない。そこで我々はこの外水平細胞のGABA放出に共役する受容体を見い出す目的で、種々の神経伝達候補物質を添加したところ、グルタミン酸時にカイニン酸により、強力なGABA放出が惹起され、NMDAは無効であった。カルシウム非依存性であることより、GABAのキャリァ-の見地から現在その放出機構を追求中である。
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