誘導条件が一度誘導葉で成立すると、その葉が生存している限りは花成刺激を生成し続け、かつ誘導葉が刺激の供与体として接木することができるシソを用いて、花成刺激の性質を更に良く究明し、その系を用いて花成刺激のバイオアッセイ法を確立することを目的として研究を行った。上記の系では、誘導葉は非誘導葉に接木して花成を誘導するのに、最低1cm^2の如き小面積の葉に含まれる情報量で誘導が可能であった。さらに、花成刺激の成立にジベレリンは特に関与しないが、成立した花成刺激によって分化した花芽が発育して開花するまでの発育にはジベレリンが関与していることが明らかになった。 葉で成立した花成刺激により、成長点に花序分化し花序中に花芽分化するが、分化し発育途中の花を含む花序を、非誘導植物に接木するとこれは供与体として働くことがたしかめられた。その作用は、直接誘導された誘導葉そのものよりは、はるかに弱いが花成刺激の表現器官である花序が誘導能力を有することは、花序における花成刺激はの存在を示すものと思われる。 誘導葉を非誘導葉に接木して、後者に開花を誘導するとき非誘導植物の感受性にはシソの系統により差があり、赤シソの方が青シソよりも高い感受性を有する様であった。このことは、バイオアッセイ系を確立する上で重要なことと思われる。 誘導条件下で成立する花成刺激を化学的に取り出してそれをテストするバイオアッセイ系を探索するため実験を行い誘導葉の葉柄から飽和湿度中で水中に溶出してくる物質についてテストを行なった。この方法は接木系をモデルとして誘導葉の代りにパスツ-ルピペットを茎の切断面に導入して、そこから抽出物を与えようとするものである。
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