研究課題/領域番号 |
01810002
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小嶋 祥三 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (70027499)
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研究分担者 |
林 基治 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (10027500)
三上 章允 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (40027503)
久保田 競 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (30027479)
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キーワード | アカゲザル / 脳内透析法 / 高速液体クロマトグラフ / 遅延反応 / 前頭連合野 / ド-パミン / ノルエピネフリン |
研究概要 |
脳内透析法と液体クロマトグラフの組み合わせにより、課題遂行中のアカゲザルの前頭前野より、ド-パミンとその代謝物の3、4ジヒドロキシフェニル酢酸(Dopac)、ホモバニリン酸(HVA)、およびセロトニンの代謝物5ーヒドロキシインド-ル酢酸(5HIAA)、ノルエピネフリンを定量した。また、定量したものが、ド-パミンであるかを確認する目的でド-パミンの代謝酵素であるモノアミンオキシダ-ゼのインヒビタ-のパ-ジリンを投与し、ド-パミンやDopac、さらに行動への影響を検討した。課題はサルの前頭前野がとくに関与する空間位置の短期記憶課題(遅延反応課題)と、記憶の関与が少ない統制課題(非遅延反応課題)である。遅延反応の遅延時間も操作した。 サンプル回収用のプロ-ブは前頭前野の主溝付近、および弓状溝付近さらに弓状溝の後方に挿入された。2つの課題は40分毎に交代され、その間20分毎に2回サンプルが回収された。サンプル中のド-パミンは極めて微量でバラツキが多く絶対値の比較では、課題間に有意な差がみられなかった。そこで、遅延課題と非遅延課題のド-パミン量の差の方向に注目して分析した。その結果、主溝付近では、遅延課題でより多くのド-パミン放出がみられた。一方弓状溝の周囲では、遅延課題で多い場合と、非遅延課題でより多くのド-パミンが放出する場合がほぼ同数みられた。Dopac、HVAはド-パミンと同じ方向の変化を示すことがあったが、ド-パミン程明瞭でなかった。パ-ジリンはド-パミンの放出を増加させ、Dopacを減少させることがあり、定量したものはド-パミンであると考えられた。また、遅延時間の延長はド-パミンの放出を増加させることがあった。ノルエピネフリンは現在測定中である。脳内透析法は部位、課題の分解能を持つと推定された。
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