研究課題
試験研究
平成元年度は、1ミリ波帯(1300μm帯)、2ミリ波帯での超低雑音ヘテロダイン超伝導受信機の開発・設計、製作、高位相安定局部発信機システムの開発・設計、製作、および室内での基礎実験を行なった。1.低雑音ヘテロダイン超伝導受信機の開発では、超伝導SIS(準粒子トンネル)素子を組み込むミキサ-・ブロックの設計を行なった。2ミリ波帯のミキサ-ブロックでは、これまでの7ミリ、3ミリ波帯でのミキサ-製作技術を応用してこれまでと同様の制約導波管幅構造を持たせ、SIS素子との良好なインピ-ダンス整合が可能であることがわかった。一方、1ミリ波帯でのミキサ-ブロックでは、制約導波管幅を用いることが現在の製作技術では、かなり困難であるため全導波管幅をもつミキサ-構造を採用した。また、インピ-ダンス整合を広帯域(20ー30 GHz)で実現するため、1ミリ、2ミリ波帯ともに2つのメカニカルなチュ-ナ-(バックショ-トチュ-ナ-、E面チュ-ナ-)を持たせたミキサ-構造とし、設計・製作を行なった。2.局部発振源は、75GHzガン発振機を原振とし、周波数2てい倍、3てい倍器を用いてそれぞれ2ミリ、1ミリ波帯の局部発振源とすることにした。この方式には、低い周波数での高出力のガン発振機を用いることが出来ること、1ミリ、2ミリ波帯で原振を共用出来るなどのメリットがある一方、原振のガン発振機には2ー3倍の位相安定性が、そして高変換効率のてい倍器が要求される。そのため、位相固定システムに、位相ドリフトの主な原因となるフィ-ドバックル-プの誤差電圧ドリフトを抑える独自の回路を導入し、また高効率2てい倍、3てい倍器を導入した。室内実験により、製作した75GHz帯ガン発振機は、20ー30mWの高出力を持ち、非常に安定なフリ-ラン発振が実現されていることが確認された。
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