研究分担者 |
小田 清志 東ソー株式会社新材料研究所, 研究員
小玉 展宏 東ソー株式会社新材料研究所, 研究員
奥西 哲 高知医科大学, 医学部, 教務職員 (20214067)
岩堀 淳一郎 高知医科大学, 医学部, 助教授 (50115292)
KODAMA N. Tosoh Corp., Advanced Materials Research Lab., Researcher
ODA K. Tosoh Corp., Advanced Materials Research Lab., Researcher
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研究概要 |
近赤外の広い波長域(650ー1100nm)で発振が可能なチタン・サファイア結晶の励起帯と高繰り返し発振が可能な銅蒸気レ-ザ-の発振波長(511、578nm)が良く一致することに着目し、銅蒸気レ-ザ-を励起源とするチタン・サファイアレ-ザ-の開発研究を行なった。高効率の発振を実現するためには、励起用銅蒸気レ-ザ-の指向性が重要であり、不安定共振器を用いてビ-ム拡がり角0.5mradの指向性を得た。このように指向性の高いレ-ザ-ビ-ムで高繰り返し励起を行なう場合、反射防止膜を施した結晶では表面破壊が起こり易い。その対策として銅蒸気レ-ザ-を直線偏光発振させ、その出力ビ-ムをブル-スタ-角で入射させた。簡単な改造により、指向性を損なうことなく80%の偏光度を得た。結晶の破壊耐性は共振器構成上の制限を課すので、育成した結晶を用いて破壊試験を行ない、入射光フルエンスの破壊閾値を決定した。得られた結果をもとに共振器を構成し、励起入力の発振閾値、微分効率を調べ、小信号利得対励起入力比を評価した。縦励起を行なう場合、結晶出力側でのポンピングが弱く、残留吸収による損失が利得を上回る可能性がある。実験デ-タから結晶長の最適値を見積もった。レ-ザ-出力は、励起入力8.0Wで1.5Wを得た。 結晶育成に関しては、気泡混入を抑制する育成条件、高い良度指数(FOM,発振帯と励起帯の光吸収の比)を得るための後処理条件を決定し、これによりチタン濃度0.15atom%,FOM200以上のチタン・サファイア単結晶を育成した。 現在第二高調波発生の実験を進行中である。すでに発振閾値3.3W、微分効率0.4の発振特性を得ていることから銅蒸気レ-ザ-出力20Wで4W程度のレ-ザ-出力が得られるであろう。これにより波長700nmー1μmでパルスあたりエネルギ-1mJ、波長300ー500nmの領域で同10ー100μJのパルスを毎秒5000発生させるという所期の目標はほぼ達成される見通しである。
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